Rinコラム 『タダシイ数の概念』

『タダシイ数の概念』2005年10月号

「うちの子、まだ指を使って数えているけれど、大丈夫ですか?」
この質問は、年間のお母さんからの質問ベスト5に入るのではないでしょうか。とくにこの時期に多いものです。
私の答えはこうです。
「大丈夫です。ただし絶対に(指を使うのを)やめさせないで下さい。」

正しい数の概念を身につけていくには、順番があります。
まずは、
①正しく「数唱/計数」ができる(1~100の逆唱/2とび・5とび/1つずつ数える 等)
②「順序」が分かる(何番目・前後/いくつ後ろ/どちらが先 等)
③「比較」が分かる(どちらがどれだけ多いか少ないか/どちらにどれくらい足せば同じになるか/何倍くらいか/何分の一くらいか 等)
④「分割」が出来る(5を2つの数に/10を2つの数に/10を5と5に分け、5を2つの数に分ける)
これらを経て、ようやく
⑤「加算」(あといくつで5/2つのものをあわせるといくつ/いくつ足りない/両手を使って計算できる)の段階に到達するのです。

①~③は、小学校に上がるまでに、兄弟たちとお菓子を分けたり、友達同士で遊んだりするような生活や遊びの中で、だんだんと身につけていくものです。「こっちのほうが大きい!」というようなことは、よく子どもたちが言う言葉ですよね。

ですから、これらのたくさんの体験を経ていない子に、「7+2は?」と聞いても、難しく感じるのは当然です。

さて教室では、【たして10】【足し算】が出来ないのなら、「正しく指を数える」ことができるかどうかをまず見たてます。①の数唱/計数(1つずつ数えること)が出来ていないことがあるからです。それから、「3と?」「7!」「4と?」「6!」と即答できることを目標にします。大事なのは、即答できるよう にすることです。家庭では、できるだけ「いくつある?」「何個取って」など、生活の中で数える体験を増やしてあげてくださいと伝えます。
今までの体験の積み重ねが、「数の正しい概念」を得るまでには少し足りていなかった、ということの表れであるからです。

赤ちゃんにいきなり走らせよう、とは誰も思わないでしょう。まだその準備ができていないからです。この時期にたくさんハイハイをすることが、赤ちゃんにとって今一番大事な教育。立派なハイハイが出来るようになることが、将来の大きな一歩につながるのです。同じように「両手を使って計算」も、さんざんやって、もう指の必要がなくなるまで使わせてあげなくてはならないのです。

「なんで足し算できないの?」と何度も計算をさせてみる前に、①~⑤を確認してみてもよいと思います。
ちなみに、「数の正しい概念」を身につけてしまえば、7と聞いたら、頭の中に5と2の○が浮かび上がる状態になるので、もう指は必要ではなくなります。