高濱コラム 『20年間の感謝をこめて』

『20年間の感謝をこめて』2013年5月

 先月号でアナウンスした9月23日ビッグサイトでのイベントについて、多くのお問い合わせをいただきましたので、お知らせします。目的はもちろん、20年間お世話になった方々に、ありがとうございますの気持ちをお伝えすることです。ただそこは「遊び心の花まる」ですから、一ひねりしました。文化祭のようなものだととらえていただけばよいのですが、テーマを「もしも花まるが公立小学校を作ったら」にしました。

 もともと花まる学習会を創立したときの問題意識が、「メシが食える大人」を育てきれていないこの国の教育をどうにかしたいという思いでした。100万をゆうに超える引きこもりの人数(それには、例えば家業があって親は給与を出してはいるけれど、本当は働いていない息子のような数は含まれていません)のニュースを聞くと、暗澹たる気持ちになります。12歳になったら卒業と自動的に送り出していっているが、本当に卒業しているのか、という思いです。

 教育改革の道は幾筋も見えました。公教育にすぐ入っても、そこそこのことはやれても、例えば滝壺に飛び込むサマースクールはやれないだろう。私立の教育、それもいいな。勉強ができるだけではない、心身ともに強く公共につくせる真のエリートを育てるのも良い。しかし、それはすでに何人もの先達が魅力ある形を示している。一生が一回であることを考えたときに、私は最終的には公教育改革をめざしたい。自由自在にやりたいことがやれる塾で、「思いついたら即実行」の精神で試行錯誤し成果を積み上げ、モデルを示し、何年後でもいいから新しい公立小中学校を創り、それがその後のスタンダードになっていけばいいな。

 青年らしい強気の夢でした。そしてそれは、今でも夢のままです。しかし、メディアに取り上げていただけるようになった今だからこそ、その夢の形を具体的に示すことは、若い社員たちもワクワクするであろうし、夢が目標に変わることかもしれない、と考えました。

 不登校などの相談窓口Saliや、特別の支援を必要とする子のための学習指導の場Flosなど、不採算の部門について、何でやっているのかとよく聞かれたものです。それはただ「どんな子でも受け入れる」公教育を引き受けることを、念頭に置いていたからです。
一回の事故で大きく信用を落とすリスクのある野外体験を、民間企業がやり続ける意味が分からないとコンサルタントの友人に言われたこともあります。そしてその理由も、いつか公教育を変えたいと将来を思い続けてきたからです。

 まだまだアイデア段階ですが、当日は、授業面では子どもたちに参加してもらって、キューブキューブやたんぽぽ・サボテン・パターンメーカーなど普段通りの授業を競技として展開しつつ、「脳力番付・探偵団シリーズ」のノウハウを活かして保護者にもなぞぺーや謎解きに挑戦してもらう予定です。家族一致団結して、優勝を目指してください。

 また最近は、教室展開で拡大基調にあることを受け、ビジネス雑誌を出している出版社などから教室長育成の方法などについて質問されることも多いのですが、研修の仕組みの一つもお見せします。それは、社員たるもの全員が保護者を口説き落とせなければならないという目的で行ってきた講演会研修です。事例を磨き伝え方を鍛える場で、これまで外に公表したことはありませんでした。当日は予選を勝ち進んだ社員が行う講演会決勝戦の模様を動画で見ていただく予定です。みなさんの教室長が出てくるかもしれません。お楽しみに。

 5月10日、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ設立5周年記念のプレミアムトークショーと銘打って、講演と食事・懇談の場を設けたのですが、ドレスアップした恩人ママがたくさん集まってくださいました。経営戦略もない情熱だけの塾がなぜここまで来れたかというと、会場探しから生徒集めまで一手に引き受け行動してくださる方々がいてくれたからです。花まるはお母さんたちの力で大きくしていただいたのです。9月23日、我々は夢を形にし、会員やOBOGのみなさんには家族で楽しむゲームとして参加していただきたいと思います。素敵なお祭りになることを願っています。アイデアがあればどしどし送ってください

花まる学習会代表 高濱正伸

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素敵なアイデアがある方は、
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