松島コラム 『講師の役割』

『講師の役割』 2019年1月

 12月3日、オリコン株式会社が実施している「オリコン顧客満足度ランキング」の中学受験・集団塾・首都圏の部門で、スクールFCが「高評企業」に選出されました。「オリコン顧客満足度ランキング」とは、中学受験の集団塾に通う保護者を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、「成績向上・結果」「適切な受講料」「適切な人数・クラス」「講師」「自習室の使いやすさ」「通いやすさ・治安」などの10項目を点数化して、総合得点を算出したものです。ランキングの対象になるには規定の回答数が必要なのですが、それには満たないが規定の半数以上の回答があり、その中で評価が高かった中・小規模の塾が「高評企業」として選ばれるというものです。この結果については、オリコンのホームページで閲覧できるのですが、私が特にうれしかったのは、オリコンの担当者から、「総合得点と講師への評価では、ランキングに入っている塾の中でも2位になっています」という言葉でした。この結果は、講師・スタッフのみんなの日々のきめ細かな生徒指導、進路指導の賜物であり、感謝の気持ちしかありません。これに慢心することなく、さらに子どもたちにとって魅力的で、保護者の方から信頼される存在になっていかなければならないと改めて感じております。
 小中学生の時代は、「何を教わるか」よりも「誰に教わるか」のほうが大切です。「嫌いや苦手」だったものが「好き、得意」に、ちょっとしたきっかけで変わる時期だからです。「〇〇先生の授業のおかげで嫌いだった理科が大好きになった」「〇〇先生が担当になってから英語の苦手意識がなくなった」。子どものころ、同じような経験をされた方もいらっしゃると思います。
 私たち講師の本来の仕事は、テストの点数を上げようとする前に、子どもの「これ面白い!これ大好き!」という心の導火線に火をつけることです。振り返ってみると、心に残るようなワクワクする授業をしてくれた先生には、ちょっと変わった先生、型破りな先生が多かったように感じます。一昔前の塾業界にもそういう個性的な講師がたくさんいました。カリキュラム通りにはやらない。決められたテキストは使わない。自作の教材やへんてこなモノを持ち込む。予定外の実験やイベントを行う。授業の大半が雑談で終わる。もちろん、決められたことを守るのも教育者としてあるべき姿なのですが、子どもたちから人気があり、成績もしっかり伸ばしていた講師に共通していたのは、子どもたちにその教科の面白さ、醍醐味を伝えたいという信念のようなものを持っていたことです。そしてなによりもその先生が自ら授業を楽しみ、その教科自体を誰よりも愛していたことです。そういう姿に子どもたちは、「何がそんなに面白いんだろう」と興味をもち、次第にその教科の奥深さに引き込まれていくのではないでしょうか。
 学校であれ、塾であれ、先生や講師の役割は、教科書に書いてあることをただ教えるのではなく、好奇心や学ぶ意欲を刺激することにあります。子どもは面白いものに興味を示し、好きなものに没頭します。そういう状態になれば、必要な知識は自然に身についていきます。好きなことに一生懸命に取り組む子は、自分で自分の力をのばしていくことができるのです。人間の脳は、自らを変化、成長させていくことができる力を持っています。これを脳の可塑性と言うそうです。一つのものを突き詰めれば突き詰めるほど、脳の可塑性は高まり、ほかの分野でも脳が活性化しやすくなるため、一つ突き抜けた教科ができると、ほかの教科の成績も上がる傾向があると考えられています。
 もちろん、受験生にとっては限られた時間の中で最善を尽くさないといけません。優先順位をつけて、やるべきことをやらなければならない時期です。しかし得意な教科もまだまだ伸びます。緊張感が高まる中で好きな教科をやることは、自信を取り戻すきっかけになったり、リラックスすることができたり、そして脳の成長にもよい効果があると思います。弱点対策も大切ですが、それ一辺倒にならないようにバランスを考えた勉強も必要です。
 受験前の1、2か月、そして受験期間中でも力は伸びます。自信をもって本番に臨めるよう、講師・スタッフ一同、全力でサポートいたします。保護者の方には体調管理をお願いいたします。
 本年もスクールFC、西郡学習道場にご支援、ご協力ありがとうございました。皆様にとって来年がすばらしい年になりますよう、お祈りいたします。

スクールFC代表 松島伸浩