『視察、何を見ている』 2026年1月
北海道のある地方自治体の教育長が花まる学習会の授業を見たいというので案内した。花まる学習会の教育を誤解なく理解してもうらため、教育関係者には高濱代表が創立当初から授業をしている教室を見てもらうことにしているが、教育長が上京する日程で視察できる教室は一つしかなかった。この教室は入社4年目の若い社員が教室長をつとめ、保護者以外から授業をじっくりと見られた経験はなかった。
教育長は公立中学校教員から幼児教育へ転身して、幼稚園、保育園、子ども園の園長などを経て、子ども園との兼業で町の教育委員会に勤務した。町立学園開校にあたっては基本構想、基本設計に携わり、官民連携、公私連携の視点から0歳から15歳までの一貫した教育とまちづくりを進めている(町のHPより)。この教育長に花まる学習会を紹介したのは、北海道のこの地に移住した、花まる学習会の元社員と、花まるの講師でもあった彼の奥さんだった。教育長の目指す教育に貢献できると思い、花まる学習会の理念や授業法、教材を教育長に紹介した。そして、同期入社で親交のある花まるの現社員に相談したところ、その花まる社員も賛同し、北海道へ赴き、教育長に会って、花まるの授業を一度見てほしいと誘った。早速、東京で開催する会議のため上京する機に、花まるの授業を視察したいということになった。
教育改革に熱心な教育長だからこそ、視察は高濱の授業でなくていいのか。教育長を視察に誘った社員は「今度いつ、教育長が東京へ来るかわからない。興味を持ってくれたいま、早いほうがいい。4年目の社員の教室でも花まるの授業にかわりはない。あるがままを見てもらいましょう」と言う。確かに、いいところだけ見せても信頼は得られない。進めるのが若い社員でも高濱でも同じ花まる学習会の授業。花まるの授業で学ぶ子どもたちのあるがままを見てもらうことにした。
授業開始前に、教室長と講師を紹介したあと、私が花まる学習会がこれまで地方自治体に貢献した実績などを説明していたところで、子どもたちが三々五々集まってきた。視察対象の授業は1~3年生の低学年コースで、学年ごとにテーブルに別れて座る。
挨拶で授業が始まり、最初は四字熟語の音読。早々に、一人の1年生はテキストも出さずに音読をしない、2年生の何人かはやる気のない態度が見え、まったく授業に参加していない3年生もいるなど、子どもたちが“群れ”となり一体となって進める、花まるの授業からはぐれた。授業は進み、ブロックで立体をつくる「キューブキューブ」になり、その後の古典素読「たんぽぽ」になっても1年生一人、2年生数人、3年生一人はなかなか集中して取り組めない。平面図形の問題「パターンメーカー」では、子どもたちはグルグルと手を回して「開けゴマ」で呼び、その声に合わせて教室長は問題を提示する。このグルグルの手回しに興味を持って、1年生と2年生が授業に入って同じ行動をとってきた。一枚のイラストを見て、ここからどういう展開をするかを自由に発想する「たこマン」には子どもたちはおもしろがってくいついてきた。その後の書写や計算問題になると、何もしなかった3年生も参加しだした。オリジナルの思考問題「なぞぺー」、自分と対話する作文、すべての教材が終わった子どもが挑戦する、考える教材「レインボータイム」で花まる授業はクライマックスとなる。「なぞペー」「レインボータイム」に最後まで取り組む子もいたが、集中が切れ床に寝そべる子もいた。子どもたちが一体となって躍動する、典型的な花まるの授業にはならなかった。
私も弁解がましく、オリジナルの教材を使って解法と集中を繰りなす独自の授業方法で、子どもは躍動して学び、学習の醍醐味を体得すると説明しても、教育長は私の話を聞いてはいるが興味を持ってはいなかったようだ。ただ、授業をじっくり見ていた。
授業は終了した。教育長は、開口一番、「花まるの授業は見なければわからないですね。確かに教材がいいと思います。なにより、先生(教室長)や講師の方の子どもに対する接し方がいい。一人ひとりを大切にしている」と言うと、さっさと若い社員や講師に近づき、授業の様子を聞いていた。
思いのままに活動する子どもたちを、教室長や講師は叱ることも強制することもなく彼らの行動をしっかり見守り、彼らのやりたい気持ちを引き出し、授業に戻す。子どもたちへの指導の仕方が視察でささった。公立学校では先生と子どもたちとの間に主従関係の色合いがまだ残る。この関係を変えたいという思いが教育長にあり、花まる学習会の「渡し方」(教え方)や「接し方」を取り入れたいということだった。
西郡学習道場代表 西郡文啓
“学び”をさまざまな観点から保護者のみなさんと私たち道場スタッフがともに考える勉強会を月に一度(第三土曜日)開催しています。
1月の会では、私、西郡が講師になり、「道場の学習の心得を知る」というテーマで保護者だけではなく、子どもたちも参加して、生涯学ぶうえで大切な学習の心構えについて学びました。そのほかにも保護者と私たちが同じテーブルについての「お悩み相談会」、道場の中学受験の報告会「道場版 中学入試報告会 ~道場生たちの成長~」、長期休み前に開催する「読書の夏(冬)~子どもに読ませたい本、大人も読みたい本~」の読書案内、「メモで変わる子どもの学力」「知識×思考で楽しむ社会」「嫌いも苦手も変わる、新しい算数の勉強法」といった学習法のテーマもあります。
2月の会は「面白いほど得意になる、目からうろこの漢字練習法」(講師:持山泰三)です。学習道場の会員とともに考える勉強会ですが、どなたでも参加できます。
「面白いほど得意になる、目からうろこの漢字練習法」 ※オンライン配信
2/14[土] 10:30~11:30
お申し込みはこちら
https://www.nishigoridojo.jp/manabi/

