Rinコラム 『「ものそのもの」→年長さんクラスより→』

『「ものそのもの」→年長さんクラスより→』2005年1月号

幼ければ幼いときほど、体験したことはその子の一生を左右するほどの強い力を持っているものです。

花まる年長クラスのテーマは一言で言うと、「ものそのもの」に徹するということです。基礎力である「運筆」「数理」「文字」「思考力」に加え、「思考実験」では、次週で扱う「教材を作ってくる」という宿題が当たり前に出ます。一枚の紙から立体を作ってくるときもあれば、先日は落ち葉を拾ってくることが宿題で、当日はみんなが持ちよった色とりどり・様々な形の落ち葉やどんぐりで、作品を作りました。数字の練習などは最小限。何かを強要するのではなく、「発見」の時間なのです。

ー略ー

特に二学期からは、空間認識の問題で低学年教材「キューブキューブ」を使ってみるようになりました。平面に書かれた立体を見ただけで、①どのキューブを使ったらよいのか、②どう組み立てれば形作れるのか、までを素早く考え出せるようになっています。それまでの、立体そのものに触れながら試行錯誤を繰り返す、という体験の蓄積があったのは言うまでもありません。そして大切なのは、子ども達が“遊び”と思える空間でやっているということです。

この冬休みは、家族でキューブの「箱入れ競争」をゲームとしてやってみるとよいかもしれませんね。どの子もきっと、あっという間にお母さんよりも早く出し入れできるようになってしまうはずです。ちなみに、小学生のベスト記録はだいたい12秒くらいです。

このような平面図形や空間認識力といった右脳を使う力は今まさにこの時期(3年生くらいまで)にこそ伸びる力です。そしてそれは豊富な実体験によって磨かれます。“レディネス”ということばがありますが、既に体験によって知っている事柄が多いほど、学習時に理解がしやすいといったら分かりやすいかもしれません。(立体の切り口は、豆腐を切ったことがあれば誰でもわかります。)外遊びやお手伝いには、子ども達の力を伸ばす仕掛けが実はいっぱい隠されています。「ものそのもの」にたくさん触れ、今しか伸ばせない力をたくさん伸ばしてあげたいですね。