Rinコラム 『今明かされる、書き写し教材「あさがお」の目的(小学生コースより)』

『今明かされる、書き写し教材「あさがお」の目的(小学生コースより)』2005年6月号

夏の日の午後、正座をして読書をする母の横顔。幼心にもその姿は私の美意識をくすぐり、「暑いけれどああいう風に、きちんと座るものなんだなあ」と印象深く私の心に残ったのでしょう、書き写し教材『あさがお』はいつも、私の中のこの心象風景を呼び起こすのです。

話は変わり、花まるの教室でのこと。

「誰が一番いい姿勢かな。」「左手の置き方も上手だね。」「鉛筆の持ち方はこうだよ。」「足は机の中に入れよう」「筆箱の場所は、大丈夫かな?」…。『あさがお』が始まると、講師から子どもたちへ、次々と声かけが飛び交います。

あさがおの目的のひとつに、一番大切な習慣=学習時の“体勢”を体に覚えこませることがあります。

これを侮ってはいけません。最低でも一年生のうちにこの習慣が体に染み付かないと、学力が一番伸び、また鍛えることのできる高学年から中学生の時期に、学力が伸びず頭打ちしてしまう、いわゆる後伸びしない子になってしまいかねません。

なぜなら、長時間机に向かっての学習は、この体勢が身についていないとできないからです。ですから時折、途中入会などで2,3年生以上で入会してきて、あさがおのときに足が机からはみ出、背中は曲がりっぱなし…という子を見るととても不安になります。現場の感覚として、確実にこの学習時の“体勢”と学力が比例すると実感しているからです。

姿勢に関しては口をすっぱくして子どもたちに注意を促します。いくら言っても言い過ぎることはないからです。逆に見逃すことは、その子の将来を考えると、大きな罪といえるでしょう。教室では、うまくいい姿勢が保てた瞬間に褒めるということを繰り返します。

さて、おうちでのお子様の姿勢を、改めてチェックしてみてください。寝そべって本を読んだり、楽な姿勢をとろうとしていないでしょうか。ある程度は、筋力の問題です。鍛えなければ背中をぴんと伸ばした姿勢は難しいようです。

いちばんいいのは、もっとも長い時間一緒に生活をする家庭の中で、お父さんお母さんがお手本となってあげることではないでしょうか。何よりも、子どもたちの手本となる父母や兄姉を、それは無条件に“格好いい”と尊敬のまなざしで見ているのですから。

 

(『あさがお』には他にも、童謡や詩など美しい日本語に触れるという目的もあります。次回も引き続き、教材の趣旨についてのシリーズ第三弾をお伝えします。)