おたまじゃくし 『あいさつは、すべてのはじまり』

『あいさつは、すべてのはじまり』2012年5月

花まるの教室に着いたら最初にする2つの約束。それは、連絡帳(小学生は宿題も)をかばんから自分で出して、先生に挨拶をするということです。また、仲間に何かを貸してもらったり、助けてもらったりしたとき、先生からものを手渡してもらったときに、「ありがとう」と言えるように、小学生以上では、目上の人に何かを手渡すときには必ず「お願いします」と言えるように指導します。
子どもたちの言葉の力は、普段の会話と比例します。周りにいる大人が、意識して指摘してあげないと、身につけられないことがたくさんあります。
出会った人には挨拶ができる。元気良く「はい!」を言える。うれしいときは元気いっぱいに「イエイ!」と表現できる。人間の体と心は、密接に関わっているもので、声を出すことで、気持ちを切り替えられる、発散できる、集中できるようにできているのです。ただカリカリと机の上だけで勉強をするのではなく、体全体と五感を使って学ぶことで、本物の力を身につけることができる。それが、花まるメソッドの根底にある考え方です。
ことばの力を伸ばすのは、日々の生活の中で、大人とのかかわりの中で積み上げていくもの。責任は私たち大人の側にあります。最初は「先生、サボテン」としか言えなかった子が、「先生、やることが全部終わったので、秘密の指令をください」と言えるようになってきたとき、その子は学力や落ち着き、ことばをひとつひとつ適当に扱わない姿勢をも備えているはずです。
将来どのような言語を身につけていくにしろ、母国語の美しさを肌で知り、ことばに対する鋭い感受性を獲得していることが土台になってきます。正しいことば、きれいなことば、丁寧なことばを使えるようなお手本を、我々大人が意識して示していきたいものです。ことばが、人格をつくり、哲学となっていくからです。
家庭でも、先生や大人に話しかけるときには、「○○できました」など、場合に応じて丁寧語を使えるように、伝えていきたいものです。「いいですか?」「ありがとう」というような言葉がさっと言えるかどうかは、相手に断りを入れてから行動する、相手の気持ちを汲み取る、という、他者性の最初の一歩ともなるはずです。

(2)連絡帳は、成長日記としてご活用ください
  教室から発信する連絡帳のスタートはまだですが、ぜひ保護者の皆様には、連絡帳を活用していただきたいと思います。この一週間であったこと、気づいた成長を書いてくださると、教室での子どもたちへの声かけもできますし、何より数年後、それはその子の成長記録として、家族の宝物となるはずです。もちろん、心配なことを連絡帳を通じてご相談くださってもかまいません。ぜひ連絡帳を最大限にご活用ください。