おたまじゃくし 『褒め方、叱り方のコツ―種は芽が出る芽は伸びる。そういう風にできている。』

『褒め方、叱り方のコツ―種は芽が出る芽は伸びる。そういう風にできている。』2012年度8・9月

 

朝起きて、育てている花を見て、「水が足りてないな」と思ったら、明日あげようとは思わないでしょう。すぐにあげること。そう、一日遅れが手遅れになるのです。目の前にいる子どもに対して、叱ることも褒めることも、気がついた今、その場で、が原則です。「今は人前だから」と後回しにしないこと。これが肝心です。
「もっと上手になりたい」という向上心を育ててあげることはとても大切です。嫌いになるようなことを少しでもいわないこと。それが、幼児を指導するときに、我々が常に気をつけていることです。
誰もが生まれながらにして、伸ばしていくべき種を持っています。それを上手に伸ばしてあげられるか、せっかく出てきた芽を摘んでしまうか。太陽の光が足りなくても、水のあげすぎも、具合が悪くなるしょう。
「もうちょっと上手にやりなさい」ということばは、激励のつもりが、子どもたちにはプラスにはなっていません。これならまだ言わないほうがいい。
褒め方、叱り方も同じです。「ほめて子どもを育てなさい」とよく言いますが、そればっかりでは「褒められたい」と思うようになる。「お母さんの気に入るように書こう」「先生に褒められるように書こう」では、褒めてくれる人がいなくなったとたん、書かなくなる。それは、自分のために書いているのではなかった、ということです。
認めてあげることは必要です。内容について、「上手に書いているね」と言うのではなく、「ちゃんと書いているんだね」と認めてあげること。そのためには、よく見ていなくてはいけません。何よりも、過去の自分と比較して、伸びた部分を比較してもらえることほど、やる気になる褒め方はありません。見ていてもらえた、ことが伝わるからです。
日常的でない場合は、べた褒めしてもいいですが、ふだんは、「いいね」「うまい」「すばらしい」などと一言で十分です。子どもは、いけないことをしたときも、「駄目」の一言で、なぜ叱られたのか分かります。「なんで」「駄目なものは駄目」でよいのです。本当には、説明など要らないのです。
「優しいばっかりだから好きじゃない」という言葉を子どもたちから聞くことがあります。優しさとは、厳しさがあってこそ、感じられるのです。ただ優しいのは、甘いだけ。怖いときもあって、でも守ってもらえて、頼ることができる大人がそばにいてほしいと、常に大人には基準を示していてもらいたいと、子どもたちは本能的に感じているのです。