講演会実況中継 『一人っ子作戦』

『一人っ子作戦』2013年9月

Q
我が家は4人兄弟ですが、兄弟同士いたわりあえず、けなし合う関係です。将来が心配です。今小4の次男がとても引っ込み思案で、学校でもほとんどしゃべらず、担任の先生にも心配されています。自分に自信を持ち、心の余裕が持てるようになれば変わってくるような気もしますが、家庭での対応について 教えてください。
 

A
はっはあ。あのね、4人いるとね、もうバラエティにとんでいますからね。お兄ちゃんがむちゃくちゃ強い場合とかね。わがまま放題で牛耳ってる場合とか、もう妹が妹なのに強くて、言い負かしていて、上のお兄ちゃんが自信なくしちゃってたり。すぐ下が妹だったりする場合、割とあるんですよね。何でかっていうと、女の子ってできるの早いじゃないですか、で大人だし。お利口にどんどんやって見せたりするから、お母さんは「もう妹はできるのにね」なんてことをちょろっと言っちゃったりして、こっち(兄)は自信なくしちゃったりっていうのは、よくあるパターン。男の子だったとしても気が利くタイプってのはたまに産まれますから、そうすると「もうこっちはできるのに」って言って、上の子が自信なくしちゃう。

基本的にですね「間に挟まった子たち」っていうのは、問題が起こることが多いって思っていた方がいい。これは基本形です。何でかって言うと、僕もまあそうなんですけれど、指しゃぶりでおねしょでね、もう本当に自信がない子でしたよ。で、父親の膝に入り込めなかったですからね。いっつも父親の膝は弟がとっていましたし。いろんな意味で、飛び込めないタイプだったんですよね。僕の場合、高校の彼女がね、僕に対して一から子育てをやり直してくれたみたいなところがあってね。あなたは大丈夫よ、あなたは大丈夫よって言いながらやってくれた。もう感謝感謝なんです。

で、やっぱりこの質問の子なんかもね、典型的な形だと思いますね。中2のお兄ちゃんは一人っ子で3年たって、ところが下が産まれたらすぐその下が産まれてってね、2歳差ですから。で、さらに下も産まれてますから。もうお母さん到底構ってられなかったはずなんですよね。だから、ここの問題なんですよね。

女の子っていうのはね、ちょっとないがしろにしようがね、NGワード言おうがね、反発してくるエネルギーがあるんですよね。「ママのバカァ。いいよこれするから!」とかね。でも、男の子はね、特に「もの言えぬタイプ」っていうのかな。お母さんのことは大好きですよ、男の子にとってママは女神ですから。そのママを喜ばせようと思ってぐっとこらえちゃう。こらえグセが基本形になってるところで、自分を出せないし、人間的な振舞いっていうのかな、言いたいことをぼーんと言いたいように言うとか。まだ小4ですからね、どうにでもなるんですけども、足りないんですね今のところ。

基本的には一番のアドバイスは、ママが「一人っ子作戦」をとるということだと思います。つまり、4人もいて「そんなこと言ったって、下がいて出来ないんです」という状態でできなかったはずなんです、今まで。

できれば、この質問のような状態だと、本当は、田舎の家にこの次男くんとお母さんだけが帰る、みたいな、小旅行みたいなのを一緒にやってあげるといいですね。もうね、これは今まで何人か経験ありますけれど、「びっくりするくらい喜んで喋りました」って言われますよ。「あんなに今まであの子喋りたいことあったんですね」っていうくらい喋りますよ。つまり、構ってられなかったんですよ。そのことがね、一番のポイントだと思いますよ、この問題は。

つまり兄弟の問題ではない。兄弟同士ってね、ストレスがあって、理不尽があるから財産なんですよ。社会的な戦いのスタートですしね。そのことが彼を鍛えてるっていう面があるので。男の子同士なんてね、兄弟喧嘩してる方が、二十歳以降仲いいですよ。思いっきり殴り合いの喧嘩やってる方が。長年の観察によると。うちももう、弟なんか2歳差でものすごいことになってましたから。負けたくないわけですよ、向こうも。殴りかかってくるんです必ず。でもやっぱり2歳差っていうのはあって、最後には押さえつけてばっこんばっこん殴ってね。そうするとわーーって泣いてね、台所行って包丁持って追いかけてくるんですよ。(会場笑)これがいつも喧嘩の終わりのねパターンなんですよ。僕は包丁は怖いから走って逃げると、近所のおばちゃんに、「また包丁持って追いかけられてるの」とか言われながらですね。そういう弟でしたね。でも未だに仲いいですよ。あんなに喧嘩したのに。だから、そういうことじゃない。

やっぱりこれはね、お母さんとの時間が欲しいだけです。

(臨場感を伝えるために、あえて話し言葉のまま掲載しています)