花まる通信 『親バカ』

『親バカ』2014年6月

先日、夫の「親バカ」ぶりを再確認しました。
 いくつかの単語を少しずつ話し始めた一歳半のわが子。周囲の状況を察するのが上手とのことで「〇〇するよ」と先生に言われる前から準備していることがよくあるそうです。
 保育士さんに「賢いですよね~」と言われてきたのを報告したら、「そりゃそうだよ、俺の息子だもん!」と鼻をふくらませる夫。
 実は保育士さんに言われた時、私自身は「ええ?本当ですか?」と返してしまいました。半信半疑ですし、褒められるとなぜか謙遜したくなる日本人の癖とでもいうのでしょうか。思わず「いやでも、まだ全然話せないですよ」と反論までしてしまったのです。
 夫の態度を見て悔しく思いながら反省しました。「ああ、またやってしまった…」と。「わが子を褒められて内心嬉しかったのだから、デレデレした顔で”ありがとうございますー”と言えばよかったじゃない、もう私ってば!」と。

今まで多くのご家族を見てきましたが、いい意味で「親バカ」のお子さんほど、すくすく伸びている印象があります。「うちの子、これが得意なんです!好きなんです!」と教えて下さったり、わが子が褒められたら、「あら嬉しいです。よかったね〇〇(名前)」とさらっと言える親御さんは、いつも笑顔ですし子どもも笑顔です。
 反対に、褒められても「そんなことないですよ」「うちでは〇〇なんですけどね~」とわが子の前で否定してしまう親御さんの子どもは、どこか自信が持てない様子であったり、「どうせ僕/私なんて」「疲れた~もうやだ~」などのマイナス発言が出がちです。
 また、年長さんまでは「可愛い、可愛い」で育てることが出来ていても、小学生になった途端、テストが始まり、歴然とした点数/評価がつくようになります。点数主義に陥りたくはないけれど、自分の軸が揺らいで、子どものいい部分が見えなくなってしまった、という相談も過去にありました。
 ここで言う、「親バカ」というのは、「わが子のいいところ、少しでも伸びたところに目が行く体質」「成長を一緒に喜んで楽しめる体質」と言い換えることができるでしょう。
 比べるのが得意な親は性質として、「早い/遅い、もう/まだ、高い/低い、できる/できない」など二項対立で物事を見がちです。でもそれでは、自分も子どもも辛くなってしまいます。

花まる学習会では、毎回の授業でのお子様の様子、変化や成長を「連絡帳」を通してお知らせしています。「連絡帳」を「わが子の成長日記」として活用してくださっているご家庭も多くあります。「こんな些細な事は書かなくても…」と思わずに、ぜひご自宅での様子や変化を私たちに教えていただけるとありがたいです。認め、褒め、喜び、時には然り、共に成長していく「親バカ」の気持ちで、お預かりしている子全員の健やかな成長を目指していきます。

川波 朋子