西郡コラム 『東北の被災地に花まるを一輪』

『東北の被災地に花まるを一輪』 2015年5月

昨年2月、東北の被災地で学習支援をするNPO団体から、是非、花まるの授業をやらせてほしい、色々試してみたが被災地の子どもたちにフィットした指導法、教材がない、学習を通して子どもたちを元気にするのは難しい、花まるの授業を見学してみて、これなら子どもたちに勇気を与えられる、元気になってくれると確信、花まるをやりたいという熱い申し出があった。
 被災地の子どもためになるのなら、私たちも活動趣旨や実績に評価、賛同している、このNPO団体なら、ということで、授業法のノウハウ、研修、教材、人件費等一切を無料提供して協力することになった。
 同スタッフの花まるを導入したい熱い思いはありがたい。しかし、花まるの授業を任せられるのは、3ヶ月の研修を受け、一定水準の授業司会をできると判断したものが許される。教材そのものに独自性があるだけではなく、授業展開にもこだわり、追究がある。それもすべて子どもたちに集中して学習してもらうため、子どもを伸ばすため。花まるをやりたいだけでは、ただ、花まるの教材をやっているだけになってしまう。
 それでも花まるを被災地でやりたい。お互いに知恵を出して実現可能を見いだしていく。開講まで東北から来て研修を受け、練習する。4月からは、私(同僚)が月に一度行って課題点を洗い出して指導。課題を明確にして翌月までにクリアーできるように努める。3ヶ月の研修を1年かけてやろうと。
 5,6,7月の授業を見る限りまだまだ花まるの授業とはいえなかった。が、夏休みを過ぎ9月になると花まるの授業らしくなり、一年後には花まるの授業になってきた。
 彼らの教室は廃校を校舎にして、自治体と協力、学校終了後、学習支援をしている。廃校の運動場には仮設住宅が並ぶ。震災後3年、大津波の悲惨な爪痕は少なくなってきているが、眼前の仮設住宅を見るとまだまだ震災は終わっていないと実感する。そして、そこで暮らす子どもたちがいる。
 NPO団体スタッフは困難な条件下で花まるの授業を実現させた。目的は子どもたちを元気にすること。彼らの一年後の報告には、花まるの授業をやってよかった、子どもたちは楽しく元気に前向きに学習に取り組めるようになった、とある。そして、子どもたち全員がメッセージ付きの手作りなぞペーを私たちにプレゼントしてくれた。
 被災地の子どもたちが少しでも前向きな気持ちになってくれれば、私たちも嬉しい限り。4月から被災地の花まるは2年目に向かう。

西郡学習道場代表 西郡文啓