西郡コラム 『「青空協室」をやってみた。』

『「青空協室」をやってみた。』 2016年7月

武雄市「武雄花まる学園」では、年に5~6回、教室を出て「青空協室」をやる。全校児童を8~10人の異学年の混合班をつくり、この班で協力して、プログラムに取り組む。いつもはプログラムを考案、指導をしている弊社の同僚・前原が司会をつとめるが、この日に東京から帰ってくるということで、学校の先生と私が「青空協室」をすすめた。
 開始前に、5,6年生を集めてプログラム、ルールを説明する。本番では、私は説明しない。5,6年生がリーダーになり、彼らに責任をもって自分の班をまとめさせる。自覚のためだ。全体の開始時には、やりきること、上級生は下級生を楽しませること、班全体で考え行動すること、この3つを目標にしてください、と伝える。各プログラムの開始時には、「5,6年生のリーダーは、下級生にルールを説明してください。1分後に始めます。」とテンポよく進めるためのタイムキーパーをつとめる。問題が発生すれば、その問題点を全体に共有、なぜ問題がおこったのか、どうすればよかったのかを考えてもらう。
 「名前覚えゲーム」「アイスブレイク」から始めた。今年度、最初の「青空教室」、1年生も転校生もいる。まずはお互いを知ろうということ。「アイスブレイク」はボールを持った人が発言、次の人に渡すのだが、ボールを相手に渡せない子が多い。一度全体をとめる。「『おはよう』と相手に言葉を渡しますね。ボールも言葉を渡すように、相手に取りやすいように投げてください。」とアドバイスをする。言葉のキャッチボール。
 班全員で横に並び手をつなぐ。手をつないだまま、30mを体感10秒で走る。どの班が一番10秒に近いかを競う。手をつなぎ、隣の人を感じてください、班全体で10秒を感じながら走ってください。では、はじめ!最も近かった班は10秒09です、すごいですね。優勝チームは・・・、〇〇班です。イェーイ!ん?声が小さいですね、今日の目標はやりきることでしたね。ではもう一度、大きな声で。イェイ!ここは見逃さない、流さない。
 班のメンバーをA(1,2,3年生)とB(4,5,6年生)に分け、30m離れて対峙する。Aがひらがな一の字(一文字は各班、抽選で決める)を各班一斉に叫び、B(同じ班のメンバー)に届ける。Bは集中して相手の声を聞き取る。大きな声を出し切ることは「花まるタイム」からの目標、ここでも大きな声を出し、心身の解放を目指す。
 最後は、二人一組になって学校内を巡り、その場所にふさわしい、オリジナルなマークをつくろうというプログラム。非常口を示す、人の走る絵が見本。そして、ここは学校の先生に進行を任せた。今日の学校は「花まる学園」二年目、この先生も一年間「花まるタイム」を経験してきた、よき理解者の一人だ。思った通り「青空協室」もテンポよく進み、随所に「100ポイント!」「イェイ!」を取りいれ、子どもたちを乗せ、楽しませる。私の司会より花まるらしい。学校の先生がここまでやるのか、できるのか。公立小学校に、確実に、花まるイズムは浸透している。

西郡学習道場代表 西郡文啓