道場コラム 『失敗過程そのものがクリエイティブの源』

『失敗過程そのものがクリエイティブの源』 2018年6月

 “変化が激しく、答えのない時代”を生きていくのに、「こうしなさい」というお手本はない。そのときどきの状況に応じて、自ら問題を感じ取り、解決していく力が必要になってくる。それには、より多くの失敗をすること。数多くの失敗をして、自分なりのやり方でそれを乗り越えていく。そうした経験を積むことで、目まぐるしい社会の変化に対応する力が身につき、自分の人生の困難を乗り越えていく力となる。大切なのは、子どもたちに“転ばぬ先の杖”を渡してあげることではない。我々大人ができることは、子どもたちが転んだ後、どうにか自分の力で立ち上がるための方法を自分自身で考えられるようにフォローしてあげることではないだろうか。
 そもそも、失敗をしない人などいない。“成功者”、“一流”と言われる人ほど、実は多くの失敗経験をしているものだ。誰もが夢を実現するわけではない。誰もが一流になれるわけでもない。仮にどこかで成功者になったとしても、華やかな姿の裏には、数えきれない失敗経験や挫折経験をしているものだ。そういった壁を乗り越えた者にこそ、その先の成長がある。
 「自分が成長したな」、「壁を乗り越えたな」と自分の人生を振り返ってみたとき、“失敗経験”があったのではないだろうか。子どもの頃、部活動で負けて、その悔しさをバネに練習を頑張る。テストで思ったような点が取れなかったからこそ、今まで以上に勉学に励む。どんな状況であっても、「これではだめだ、どうしよう」から成長していったことだろう。大人になってからも同様。上司に怒られる、お客様に叱られる、大きなミスをする。様々な経験を乗り越えて、何かを成し遂げたときにこそ、自分の成長を感じるものではないだろうか。
 失敗経験は、成長を加速させる。失敗を繰り返し、乗り越えてきた経験を持つ人は、逆境であればあるほど、そこに楽しさを感じる。それは、失敗や困難の先に成長があることを知っているからだ。「今は大変だけど、必ず報われる」と考えることができれば、その過程が楽しいものになる。どんなことにも前向きに取り組むことができるので、どんどん成長していく。全身全霊を使わざるを得ない環境に立ったとき、敢えて自分を追い込むことで、新たな自分に出会える。だから楽しくもあり、面白い。一方、失敗経験が乏しい人は、嫌々でしか取り組むことができず、ただただ苦しむだけになってしまう。もちろん、成長スピードも遅いだろう。
 商品開発の話がわかりやすいだろうか。新商品を開発するために、何度も試作を繰り返す。最初につくったものが、いきなり完成品になることはない。足りない部分や改良点を探して、少しずつ品質を高めていく努力を繰り返す。まさに失敗経験の連続。その過程において、屈しない気持ちを持つことも大切だ。気持ちがネガティブであれば、とてもじゃないけれど、新しいものを生み出すことはできない。忙しいときだからこそニコニコする。失敗の過程そのものを楽しむ。それがクリエイティブの源にもなるのだと思う。

西郡学習道場代表 西郡文啓