西郡コラム『西郡勉強会“学び”を考える会』

『西郡勉強会“学び”を考える会』 2022年6月

 毎月第三土曜日に、保護者と私たちとで“学び”について考える勉強会を開いている。道場の活動をオンラインに切り替えた際に、家庭と私たちと、即、つなぐことができるオンラインの利便さを活かして、保護者と私たちとの意思の疎通をはかる目的で企画した。月ごとにテーマを決め、道場に通う生徒の保護者に限らず、知人友人、花まる、FCの保護者も参加は自由にしている。
 5月のテーマは「道場の受験報告会」。学習道場の受験科は有名中学に何人合格させたかを看板にしていない。できない、わからないから学習道場で学ぶ、ここを出発点にしている。能力のあるなし、偏差値の高い低いに関係なく、その子の持っている能力、学力を最大限に伸ばして、希望する中学の受験に向かうことができるように指導している。報告会では、今年度の中学受験の人数、倍率、試験問題の傾向、特筆する変化などの基調報告を行った後、一人ひとり、どのように受験をしたのかを4人の生徒の事例をもとに話した。一人ひとり、能力も違えば学習に対する取り組みもやる気も違う、類はない。入塾から中学受験の至るまでの、成長と挫折、そして克服の紆余曲折を紹介して、独自の受験学習の取り組みを理解していただいた。報告会のように、私たちの話が主になる会では、質疑応答の時間を多く設け、参加者の意見感想を拝聴するようにしている。アンケートも用意、今後の“考える会”の活動に反映させている。
 4月は「座談会~新年度、わが子の相談会」。参加者がグループに分かれ、新しい学年になり、悩んでいることや関心事を参加者自身に話してもらい、意見交換をする。道場スタッフが司会を務めるが、保護者同士が話し合える場にしている。ある保護者の「あとでやる」「ゲームをする」など子どもの意志をどこまで許すか、という相談に対して、中学になる兄をもつ別の保護者が経験談として話してくれた。その子(兄)が塾を休みたいと言ってきた。しかも、その日は塾のテストになっている。頭ごなしに、塾に行きなさい、とはいわず、テストがあるとわかっているのに、どうしても行かなくてはいけない、友達との約束なの?と本気で問うた。その中学生の出した返答は、どうしても友達との約束を優先したい、だった。彼の意志を確認、そこまで言うなら、塾を休むことを認めたそうだ。その後、その子の学習する態度、塾に通う態度が変わった、という。許す許さないの前に、子どもの意志を確認すること、自分の意志とその行動に責任を持たせることが大切だった、と話を結んでくれた。私たちが事例や一般論を話すより、保護者から、とくに兄姉で経験を積まれた保護者が話をする方が説得力がある。保護者が参加して話をすることが、この“考える会”のあり方の一つになった。 
 3月は「保護者版 道場体験」と題して、保護者が生徒役になり、道場の活動「朝道場」と「受験国語、線引き学習」を体験してもらった。「朝道場」では保護者に発声練習、音読を体験してもらい、一連の朝道場の活動、発声練習や音読、「サボテン」(計算)、「まいどう」(日記)の確認を、なぜ朝にやるのか、それぞれどういう意図でもってやっているのかを解説して、理解を求めた。「線引き学習」は読解にも攻略方法があり、習得すればどの子もある程度、読解問題を解くことができる学習法で、受験国語担当のスタッフが生徒役の保護者に伝授した。道場の学習を体験してもらうのは、私たちの指導を理解していただき、お母さんお父さんも、先生も言っていることと一緒だ、と子どもが思うことが大切で、家庭と私たちとで同じ方向を向けば、子どもたちも納得して、いまの学習を迷いなく推し進めていける。
 2月の会では、「一、学ぶやり抜く意志を持つ」から始まる、「学習の心得」の一文一文言を解説した。生涯、学習する。その始まりとなる小学生時の学習は生涯の基礎、基本になる。学習に対する心構えは「学習の羅針盤」であり、小、中、高校、大学、そして仕事についても学び続けるときの心の持ちようになる。生涯持ち続ける、学習の心構えを、一文一文箇条書きにおこしたのが、道場の「学習の心得」だ。その意図と内容を保護者にも理解を求めた。
 6月は「伸びない子はいない。親のかかわり方」、7月は「夏休みの過ごし方。夏休みの読書案内」を開催する。9月以降も、「悩み相談」「子どもが伸びるとき」「中学受験か、高校受験か」といったテーマで会を開催する予定にしている。ぜひ、より多くの保護者の方に参加していいただきたい、ともに“学び”を考えていきたい。

西郡学習道場代表 西郡文啓