Rinコラム 『じゆうに』

『じゆうに』2019年6月

 Atelier for KIDsでは、小学1年生から中学3年生までの30名ほどの子どもたちと創作ワークショップを開催します。通常、異学年の子どもたちがこれだけ集まると、「3年生だから」「6年生だから」「下の子の面倒を見なければ」というような意識が生まれます。それ自体は、教育的にも意義がある集団のダイナミクスと言えるのですが、創作ワークショップの時間にはそれが生まれないのです。
 大人たちでさえも、心から子どもたちの作品とともに存在する、共感者であり続けた。その日の振り返りをしているとき、スタッフの一人が気がつき、みなが納得しました。
 あれだけの年齢差のある集団であったのに、いい意味で「全員がフラット」だった、と。「6年生だから上手」「1年生だからうまくできない」といった差を感じることなく、子どもたちはお互いの作品を認め合っていました。そして、大人のスタッフも子どもの作品から自らの制作のヒントを得たり、子どもからのアドバイスを受けたりということが自然に起こっていたのです。
 正解のないアートの世界だからこそ、「上手にしなければ」という外側からの理想や、「こうあるべき」というような社会的な束縛などから解き放たれ、全員が一人のアーティストとして対等な空間が生まれたのだと感じました。
生み出された作品は、子どもたちの内面が目に見える形となったものです。それは一人ひとりの今が凝縮された、その人そのものです。こころが、一つひとつ唯一で世界一のもの。
 そして、その人のこころ(作品)を見て、自分のこころが何を感じたのかを表現しあっていくことが、コミュニケーション(鑑賞)です。
 1時間の創作タイム中、全員が、全員のこころを認め合う。そのままの自分であることを、肯定し続けられる時間。そのことが子どもたちにとって、どれほど重要な意味を持つのか。本当に「じゆうな」表現を許されたときにこそ、子どもたちは真の自分を解放して、力を発揮し、自信を得るのです。
 
井岡 由実(Rin)