Rinコラム 『花まるイズム』

『花まるイズム』2004年10月号

花まるでは、入会した一番はじめの時期にしっかりと子どもたちに伝えることがあります。それは「正しい姿勢」「鉛筆の持ち方」「前に立った人の話を聞ける」「教材の出し入れをすばやくできる」「宿題は毎日やる習慣をつける」「わからないときは先生に聞ける」等の、学習に対する体と心の構えです。まずこれが当たり前のように出来ることが何よりも大切であり、その後の学力の伸びにも確実に比例してくるからです。

それ以外にもうひとつ、花まるで子どもたちに伝えていることがあります。「ありがとうが言える」「困っている時はお互いに助け合う」「高学年は低学年の面倒を見る」など、こちらが授業の中で仕向けていくこともあるのですが、それは、決して勉強ができることが一番ではないんだよ、ということです。

人は皆一人一人が違っていて当たり前。誰だってすごいところを持っているのです。人として大切なことを見失わずに、自分に自信を持ち、友を持ち、それぞれの強みを伸ばして社会に貢献できるということが、幸せであるということだと思うからです。

子どもは本来伸びる力を持っています。後はどれだけすくすくと太陽のほうに向かせてあげるかだけです。私が今まで相談室で関わってきたさまざまなケースの中には、親が良かれと思ってやってきたことが、子どもの伸びる芽を踏んづけていたこともあれば、子どもの微妙な心の機微に気付いてあげる心の余裕が親のほうになかった、ということもあります。子どもの状態を「問題」と捉え、何とか治療してほしいと考えていた保護者の方も、カウンセリングを重ねるうちにこれまでの自身の悩みや、子どもへの対応の仕方について振り返ることで、自らが無意識のうちに避けてきたことに直面する勇気をもたれます。しかし、もっともっと早くに気付いてあげられれば、だれかが助けてあげられていればという気持ちに襲われるのは否めません。

花まるで私たちができること。「わかった!」と思った瞬間の子どもたちの力強い目、「できた!」というときの笑顔、「もっとやりたい!」という気持ち…それらを引き出してあげること、子どもたちの本来持っている力を信じてあげること。

花まるが花まるであり続けるために、そして一人でも多くの子どもが幸せになるために、これからも保護者の皆さんとともに子どもたちを見守っていきたいと思います。どんな些細なことでも一緒に考えていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。