Rinコラム 『問題意識』

『問題意識』2009年1月号

なぜそうでなければならないのか。
既存のものに対して感じる違和感や、かすかに感じる疑問。そういうものを大事にすることは、問題意識の種になります。

たとえば、たったひとつの答えにたどり着かねばならないという強迫観念のもと読む国語問題文は、ちっとも面白くない。そもそも表現のひとつであるべき幼児期の絵画や工作、作文なども、「大人の評価」という価値基準を意識させられてしまったとたんに、「じゆうに」なんてできなくなる。そのことの弊害を、身を持って感じてきて、「そうあるべきではないのに」「もっとこうすれば、喜びとともに力をつけられるのに」という私自信の思いを形にしたものが、FC単科講座「特国」であり、「ギャラリーokarina B」での活動であり、花まる教室での指導の根幹を成していると思います。

今年はFCでいえば、「小3Jコース」が生まれました。これも、小3のこの時期に特化して、今だからこそ伸ばせる力をいかに楽しく身につけさせてあげられるかという問題意識から作られたコースです。「アルゴクラブ」しかり「雪国スクール」しかり。たどっていけば「花まる学習会」だって、高濱の問題意識から生まれたものです。本質的なもの、本当に大事なものだからという思いでつくりあげられたものは、アイデアを思いついた人の強い熱意と確固 とした問題意識から成り立っているものです。

100年に一度の大不況と言われている今、おそらくこの時期を通ることは、本物かどうかをテストされ、淘汰されていく歴史のひとつなのだ と思います。これまでどおりでいいのだろうか。当たり前と思っていたことが、そうではないのではないだろうか、と各個人がふりかえさせられる時期なのかも しれません。そして本物だけが、本質的なことをやっているものだけが、残っていく過程なのではないだろうかという風に感じています。

そして、子どもたちには、問題意識を大事にすること、ひいては自分の感受性を信じることの大切さを、伝えたいと思っています。本物かどうかをかぎ分ける感覚、ともいえるかもしれません。それこそが、この時代を「生きる力」だと思うからです。

さて、花まる学習会は設立15周年を迎え、会社としても変革のときに立っています。まだまだ若い会社だと思っていますし、心意気だけで やって来た部分はたくさんあり、その文化こそが花まるらしさだとも思います。これからも、会社としてさらに成長するためにも、本当に子どもたちのためにな ることという一点において、スタッフ一同が思いをひとつにして邁進していきたいと思っています。保護者の皆さまには、これまでどおりのお力添えを、今後ともよろしくお願いいたします。

そして最後に、一人でも多くの子どもたちが、花まるで笑顔になれますように、お友達への紹介をしていただければうれしいです。よろしくお願いいたします。

創作活動のキロクが、新しくホームページになりました