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2020年2月29日(土)

2020スペシャル対談 Vol.2! 井本陽久(いもいも)×高濱正伸(花まる学習会代表)

2020 スペシャル対談! 子どもたちを「見る目」 Vol.2

Vol.1はこちら エビデンスではなく、子どもを見る

井本陽久|いもいも主宰 × 高濱正伸|花まる学習会代表

なによりもまず「見る」ことが大事―――。
なぜ、「見る」ことをやめてしまうのか、徹底討論!

高濱 なんでみんな(見ることを)やらなくなるんですかね。やっぱり教えられちゃうからでしょうか。教育なんちゃら…って。
 
井本 まぁ、そうですね。いまって、情報がみんなに届くから、「これが一番!」っていうのがあるとみんなに入っちゃう。
 
高濱 え、アレやっていないの?なんで!?って。
 
井本 そうそう。多分、自分で考えてきていない人は、「(メソッドのようなものを)借りてやる」ということが自然になっている、子どもを見ていない。むしろますます見られなくなりますよね。
 
高濱 あらゆるところにありますよね、「これがいいらしい」っていうやつ。「いい!」ってなるとうわーっと広がる感じ。
 
井本 そういう意味では、多少あまのじゃく的なところを持っているくらいの方がいいかもしれないですね。

高濱 いや、目的を持たないといのが新しいよね!「データを見ない」?えーー!みたいな(笑)
ひとつ言っておきたいことは、大学の先生たちがエビデンスをとってくれることは、マクロの世界で見たときに、判断にすごく役立つんですよね。確実に言えることを少しずつ明確にしてくれる専門家がいることで、参考になるしすごくありがたいこと。
ただ、先生とか親はとにかく感性勝負なんですよ。
 
井本 そうなんですよね。
 
高濱 おけいこごとなんかの悩みもそう。感性はないけれど、
「バドミントンはすごくいいハズなんですよ。でもうちの子、なんかやりたくないって…。」
習い事の相談は、完全にこのパターン。「英語◯◯教室がいいって聞いて…」も多い。
 
井本 「どうしたら英語を好きになりますか?」って。
 
高濱 そうそうそう!本当にそう!順序が逆転しているというか。「子どものために、一番いい情報のはずなんです…。」ということが多い。
  
井本 まさに“目的”ですよね。私も若い時にたくさん経験しているんですけれど、目的を持つと、イライラするんですよ。イライラして、コントロールしたくなるんですよ。必ずコントロールのほうにいっちゃうんです、人は。
ぼくはいま、目的を持たないでやろうとするのではなくて、ただ関心をもって見ているなと思うんです。授業前に散々準備をして、「こうやったら、どうなるんだろう…」と興味がある。やってみて、「これはそうか、これで響かないか…」となる。単純に、授業でそのときにどうこうしようとは思っていないんです。もちろん、まったくそういことをしないわけではなく、「これでいける」というときはさーっと引っ張ったりもするけれど、基本は見る、その子の状況なり、関心なりを「見る」。で、わからなければ聞きます。逆に、わからないから、聞けるんですよね。
 
高濱 うんうん…!
 
井本 こういうことがありました。最近、ある一人の子が、僕の授業でいつも寝ているんですよ。こうやって(肘を机につくポーズ)。ほかの先生に聞いたら、ほかの授業でもやっぱり寝ている。そこでぼくがその子のところへ行って、「どうした?眠い?」と聞いてみたんです。
その子は、「目を開けると痛いんです。それで、痛いから目をつぶっていると寝ちゃうんです…。」と。
そういうのって、知覚過敏で本当にあるかもしれないですよね。わからないと、「なんで寝ているんだ!」と怒っちゃうんですよ。
 
高濱 学校の指導案はつくるべきだと思いますけれど、自分なりのね。準備は絶対しなきゃいけない。けれど、基本はライブで変わってしまう前提でいないといけないですよね。ここで発問があって、こっちにもっていくというのは、まさに見ていない。「今日は指導主事もいらっしゃるし…ちゃんとゴールにもっていかなきゃ。」というのは…
 
井本 「ここは5分」とかね。そうするとね、もう変なことになっちゃう。見ているのは、「指導案」と「指導主事」。
 
高濱 子どもの生き生きだけを見抜いていく、「興味関心を持っているかなー」というところだけ見ていけばいいんですよね。
 
井本 本当にそう思いますね。先生っていうのは、それを続けることができる。自分は30歳手前で、「できる・できない」「理解している・していない」じゃなくて、「いま自分で考えているかどうか」ということだけに焦点を当てて授業をやろうと決めて、そこは変わっていないんですけれど、そうやって続けてそれを曲げずにやっていれば、自分なりの授業というのはできあがると思うんです。方法は、自分で試行錯誤して見つけるしかない。気づきながら。
 
高濱 ということは、大学の教職課程では、気づく練習をいっぱいしなきゃいけない。「今日は何に気づいた?」って。
 
井本 それがね、いま「いもいも」にきている大学生の二人が、「大学の授業はくそつまらない」と。
 
高濱 そりゃそうでしょうね…。
 
井本 この間、その二人がね、「先生が、スライドでなにかを映した。新教育課程の指導要領を映して、「みなさん、これを写してください」と言った。ありえないと思って写さないでいたら、「なんで写さないんだ、ほら写せ!」と怒られた」という話をしていたんです。
そいつは、「写すよりも、見て頭の中で考えたほうがいいと思ったから写しませんでした」と言ったけれど、それでも「写せ」と言い張る。そんな教育を大学でしているんですよ。教育学部ですよ。
 
高濱 えー!大学で?痛すぎる…。ダメな小学校の先生みたい。
 
井本 痛すぎますよね…。だから、彼らは「いもいもにきて教えていてよかった」と言っています。
 
高濱 それは、人として死んでしまうところでしたね。
 
井本 逆に言うと、ここにきて知ってしまっているから、大学というのはいかに無駄なことをやっているかというのが身に染みるそうなんです。
でも確かに、いまは「みんながこっちにいったらこう」っていうのが当たり前になってしまって。怖いですよね。
 
高濱 それは本当にいまの典型ですよね。これから先生になる人を育てる現場でそれか、その水準か。
 
井本 あとね、いまテストは、「スマホはダメだけれど、書いたものなら持ち込んでいい」ということがあるみたいで。そいつはバカらしくて書かなかったそうなんですけれど、「自分が一番早く終わった」って。「自分で考えればいいじゃん」って言っていましたね。
 
高濱 書いたものならいい理由はなんなんですかね。
  
井本 「自分で書いたものならまじめにやったから、書いて勉強したら覚えるだろう」ってことでしょうね。方法論がめちゃめちゃなんですよ。
 
高濱 
えーーーーー。◯◯大学でそのレベルか…信じられない!

 
 
次号へ続く
 


―2020スペシャル対談!高濱×井本 子どもたちを「見る目」―

★Vol.1はこちら
子どもたちを「見る目」Vol.1
エビデンスではなく、子どもを見る
http://www.hanamarugroup.jp/hanamaru/news/2020/01/4780/
 

\出演しました/
🌸プロフェッショナル 仕事の流儀 1月7日(火)22:30~ (NHK総合)
答えは、子どもの中に ―数学教師・井本陽久―
https://www4.nhk.or.jp/professional/x/2020-01-07/21/7558/1669571/

🌸井本陽久主宰「いもいも」|今、この瞬間に生徒が躍動し、没頭する授業を
「いもいも」は学校の成績を上げることを目的にしていません。「いもいも」で何より大切にしているのは、
・自分の考え方で考える
・自分のやり方でやる
ということ。いもいもの子どもたちは、安心して「自分」を発揮しながら学んでいます。

いもいもHP|https://www.hanamarugroup.jp/imoimo/

🌸井本陽久講演会「ダメでいい、ダメがいい。」
1月28日(火)、2月18日(火)3月24日(火)
詳細・お申し込み|https://www.hanamarugroup.jp/kouenkai/koenkai/20724

🌸花まる学習会
子どもたちを「メシが食える大人」「モテる人」に育てる学習塾です。

花まる学習会HP|http://www.hanamarugroup.jp/hanamaru/

🌸井本陽久について、もっと詳しく知りたい!
『いま、ここで輝く。~超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室~』
おおたとしまさ/著
(エッセンシャル出版社)

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